特許出願をするためには、
①願書
②明細書
③特許請求の範囲
④図面
⑤要約書
の合計5つの書面を整える必要があります。
依頼者は弁理士が作成した各書面をチェックしなければなりませんが、そもそも、
①何をどのようにチェックしなければならないか分からない
②忙しくて時間がない
という経営者や発明者の方も多く見られます。
時間的な負担を抑えるためにプロフェッショナルである弁理士に仕事を依頼しているのに、面倒なチェック作業が発生するのでは意味がないと考える中小企業経営者の方もいらっしゃることでしょう。
しかしながら、様々な要因によって技術内容に誤解が生じたりする場合もありますので、より良い特許権を取得するためにも全くのノーチェックはお勧めできません。
そこで、審査段階において致命傷になることを回避し、より良い特許出願書類にするために、知財初心者向け「最低限の3つのチェックポイント」についてご説明します。
チェックポイント1
技術的内容に間違いがないか?
明細書の【発明の効果の欄】と【発明を実施するための形態】の欄に記載された技術的内容に間違いがないか確認してください。ここが間違っていると致命的になります。
一方で、初心者にとって最も難解と思われる【特許請求の範囲】については、あくまでも時間的余裕がない初心者に限ってのことですが、チェック不要です。【特許請求の範囲】は最悪、後からでも補正できますし、中級者以上でないとなかなかチェックは難しいでしょう。
チェックポイント2
開示すべきでないノウハウが含まれていないか?
特許明細書に記載した出願内容は、出願日から1年半後に公開されます。
従って、不用意にノウハウが流出してしまうと致命的となりますので、開示すべきでない情報が含まれていないか確認する必要があります。
開示すべきでない情報の代表例は、製造方法に関するデータであり、具体的には、製造工程における必須の数値パラメータ(温度、濃度、圧力等)です。
ただし、そのノウハウが発明の特徴部分であれば、開示しなければそもそも特許されない可能性もあります。
ノウハウを秘匿しつつ、特許を取得するテクニックもありますので、よく検討して対応することになります。
チェックポイント3
願書の出願人と発明者の欄の記載事項
出願後でも修正できますが、意外と面倒ですし、費用も発生しますので、ご注意ください。
続いて、チェックの結果、問題を発見した場合の指摘の仕方についてご説明します。
文章の内容がよく理解できなかった場合は、「ここが不明確で理解できません。」とご指摘いただくだけで構いません。時間の節約にもつながります。
また、使用されている用語に違和感を覚えたら遠慮なく指摘して下さい。
もちろん、文章自体をご自身で修正いただくことは歓迎です。
技術内容に誤解がある場合には、説明資料を別途提示するなど、改めて追加説明をお願いします。
決して依頼者の責任にする訳ではありませんが、弁理士に技術内容を理解させることができなければ、審査官にも理解させることは到底できません。
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